※これは私の勝手な妄想です。注意して読んで頂けると幸いです。
待ち人は、修行者
「まもなく一番線に電車がまいります。危ないですから、黄色い線の内側にお下がりください。」
「がなママ駅」のホーム。今日私は、旦那さんとここで、とても大切な人を待っています。とても緊張して、ドキドキわくわく。
電車は、この駅に停車せずに通過して行ってしまうこともあります。私の友達は、待ち人を何回も見送っています。もしかしたら、停車しないことの方が多いのかもしれません。
ガタンゴトンガタンゴトン
電車がホームに入ってきて、ゆっくりスピードをおとします。ゆっくりゆっくり・・・
そして
プシューっと音がして、電車のドアが開きました。「お出口は右側です。お忘れ物落とし物ございませんようお降りくださいませ。」
空からやってきた修行者
一人目の弟子
うちの息子は、私と旦那さんが待つ駅で降りてきました。何も持たずに、裸で、身ひとつで1人で降りて来ました。
言葉で意思を伝えることも出来ないのに、私と旦那さんを信じて降りて来たのです。
電車を待っている時、私と旦那さんは「男の子が降りてくるかなぁ〜。女の子が降りてくるかなぁ〜」「名前はなんにしよう」などと話しながら降りてくる子を待っていました。
その子の為にご飯と着る物を用意しました。おもちゃも用意しました。ベットやお風呂も用意しました。どんな子が降りてきてくれるのだろう、何が好きかな、元気だったらなんでも良い。
いろいろなことを思いながら駅で待っていました。
電車が停まり、電車から1人の男の子がおぼつかない足取りで降りてきたのです。私たちには目もくれず、駅のホームに落ちていた小石にまっしぐら。
私たちは、男の子の後を追って「とりあえず服着ようか。お腹すいてない?おやつ食べない?こっちにもおもちゃあるよ」と言って男の子の気を引こうとしました。
私は男の子に、2人で考えた名前を呼びました。男の子はこっちを見てニコッと笑いました。
男の子と一緒に駅を後にしました。
息子と出会ってからいろんなことを一緒にやりました。一緒にご飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝ています。
そして。
二人目の弟子
2年後に、私と旦那さんと息子は駅で電車を待っていました。
「まもなく二番線に電車がまいります。危ないですから、黄色い線の内側にお下がりください。」
電車が停まって男の子が1人、降りてきました。
こちらの男の子は、わたしたちを発見すると、泣きながら必死になってこちらに向かってきました。
相変わらず弟には見向きもしないで、小石を拾っている上の子を見守りつつ、「よく降りてくれたね。不安だったね。もう大丈夫だよ」と言って、その男の子を抱き上げました。
そうして、4人でお家に帰りました。
友人にも修行者が
私の友人は別の駅で、数年も前から電車が停まるのを待っていました。でも何年待ってもなかなか電車は停まることはなく、通過して行きました。
そんな友人の駅にもようやく電車が停まり、男の子が降りてきました。友人はとてもとても嬉しそうでした。
誰もが不安な気持ちで降りてくる
わたしたちを師匠に選んで、無事に降りてきてくれた2人の息子。降車ボタンを、どんな気持ちで押したのかな?なんにも持たず、身ひとつでやってきて、さぞ不安で怖かったことでしょう。
「もう大丈夫」いつでもそう言ってあげられるように、「降りてきてくれて、ありがとうね」の気持ちをいつまでも忘れずにいたいです。
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